なぜ、吸水ショーツ「ナギ」は事業停止したのか?初年度は推定年商2億超え。その後、大手参入、高いバーンレート維持による経営逼迫か。

1週間ほど前に女性用吸水ショーツで名を馳せた「nagi(ナギ)」が事業休止すると発表を行いました。ブランド開始から1年で5万枚販売、推定年商で2億円超えするなど好調のように見えたナギに何が起きていたのでしょうか。

引用:WWD

信じられないほど数多くの大手が参入してきた生理ショーツという市場と、高いバーンレートでの経営実態などが見えてきました。

2020年5月リリースの「nagi(ナギ)」、初年度で推定年商2億円超えするも、たった2年でGU、ピーチジョンなど大手5社以上の参入が相次ぐ

2020年5月、華々しくリリースされたnagiというブランド。初年度の販売個数は5万枚超えとインタビューで語られていました。

販売5万枚×初年度の販売価格5000円でざっくり計算しても2.5億円ほど売れているんですよね。
D2Cスタートアップとしての駆け出し方としては決して悪くないのです。

一方で代表の石井さんが「目立ちすぎた」影響もあったのでしょうか。大手の参入が翌年から相次ぎます。

あくまで一部のラインナップ、零細企業なども含めると10社以上が生理ショーツに参入

2021年にGU、ピーチジョン、スリーコインズ、ユニクロが参入。さらに、22年にはトップバリュまでも参戦してくる状態に。医薬部外品となる生理用ナプキンと違い、「雑貨」として許認可なく販売できることから参入が相次いだようです。

これらの参入によってナギの売上も落ちたものと考えて間違いないでしょう。ナギの5000円~に対し、GUに至っては生理用ショーツを590円で販売しています。

引用:GU

スタートアップへの愚かな質問として「大手が参入してきたらどうするの?」というものがありますが、まさにナギのケースでは大手が続々と参入してくる結果となりました。

1/10の価格で販売されたら、ぐうの音も出ませんね…。こうした競争激化に対し、ナギのバーンレートが高い水準にあったことがオフィス賃料から明らかになりました。

「nagi」ブランド運営のBLAST、社員数6人で16坪、賃料60万弱。一人当たり10万円ほど

nagi運営のBLASTが入居していたオフィスとインタビューを見つけました。

引用:ORDERMADE TOKYOこちらのおしゃれなオフィスとのこと。内装も手を入れてるので造作が最低限整っていたとしても追加で内装費かけてそうですね。

BLASTが入居したPORTAL POINTの賃料ですが、こちらになります。なんと、約17坪で50万超え。

引用:PORTAL POINT

約17坪で約58万円なので坪単価3.4万円、インターネット費用が含まれているとしても割高です。
BLASTの社員数6人でオフィス賃料を割ってみると、一人あたり約10万円、一人あたり年間で120万円です。

さらに入居が2021年というコロナ真っ只中。何故そのタイミングでここに….。「オフィスへの金のかけ方」で経営スタイルが見えるという持論があるのですが、他も高コストでされていそうな印象です。

ANRIのフェムテック領域担当だった江原ニーナさんは既に退職か。ナギへの出資も。

nagiのリード投資家にはANRIも名を連ねています。

ANRIといえば「フェムテック領域」への注力も話題を呼んでおり、女性起業家への出資を2割と衝撃的な宣言をし、それを達成しています。

引用:日経

昨年、なんと投資先の2割を女性起業家にすることを無事達成したとのことです。本当にすごい。
その船頭を切っていたのでANRIの江原ニーナさんです。nagiもご担当されていたようです。

引用:ANRI

サイトを見たところANRIのTEAM紹介から江原ニーナさんが消えているようで、「ニーナさんが辞めたらしい」という噂もありましたが、事実だったようです。(TwitterプロフィールもEx-Anriに…)

ANRIではニーナさんを中心にフェムテック企業に出資され、無事に2割の目標を達成、女性起業家が少ない中で素直に凄い実績だと感じます。江原さんの今後のご活躍にも期待しています。

そもそも「nagi」の市場規模自体小さいのではないかと3年前に予測していた起業家が存在していた。

この「ナギ」のチャレンジする生理用ショーツの市場規模自体が小さいのではないかと予測する起業家がいました。

樋口幸太郎氏です。昨年、上場企業にM&Aされ、いま三度目の起業に挑戦されています。

3年前に予測しているとは、さすがの一言ですね。。市場選定が大切なのは言わずもがな、、とはいえ小さいニッチなニーズから攻め込むのはスタートアップの戦略としては正しいのかもと見ていた残念な結果でした。

事業休止とのことなので、BLAST社の次の挑戦を楽しみにしています。

PS.ちなみに、BLASTおよび、代表の石井さんですが、『すごいベンチャー100社選出」、『第20回 女性起業家大賞 スタートアップ部門 優秀賞』、『Forbes 30 Under 30』に選ばれています。フォーブスに受賞された起業家の事業撤退などが相次いでいる印象ですが、はたして..。

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