今回はアウトドア用品メーカー「コールマン」に関する記事です。
キャンプの経験ある方は恐らく見たことある光景だと思います。
下記のメーカーのテントが並んでいる様子を…。
こちら、「コールマン」というアウトドア人気1位※にも輝いたことのあるブランドで、テント・ランタンなどが人気です。(※Be-pal調査)
実はこちらのコールマンですが、2016年に再販売価格の拘束を理由に、公取委から独禁法違反の措置命令を受けているんです。
そして、非常に珍しいのですが、公取委が「この措置命令後、市場はどうなったのか」という事後レポートを発表されておりました。
マーケットの推移や、購入者がどのような視点でキャンプ用品を選定するのか、などビジネスを検討する上でも示唆に富んだ内容となっておりましたのでご紹介致します。
こんな面白い資料が公開されているなんて….
オートキャンプ市場は850万人、キャンプ用品市場は609億円の成長市場だった(※2018年時点)
事後評価報告書、公取委としても公表するケースがあまりないようでどんなものだろうと思い読み進めると、事業企画書と構成がかなり似ており、面白かったです。
まず、オートキャンプの参加人口の推移ですが、2012年以降右肩上がりとなっているようです。
2018年時点で850万人、、ゆるキャンなどのアニメのブームも考えると2022年はより参加人口が増えてそうな印象です。
さらに参加人口だけでなく、キャンプ用品の市場規模推移も。
参加人口の増加に伴い、キャンプ用品市場も成長。609億円の市場規模となっています。
続いて売上比較の資料も見ていきましょう。
非開示だった「コールマン」の売上も公開。なんと、スノーピークの2倍ほどの売上165億円だった。
驚いたのがどこを探しても見当たらなかったコールマンの売上高がこの資料にがっつりと記載されておりました。
また有難いことに他社比較まで…これはありがたすぎる。矢野経済見なくても済んでしまいました..。
コールマンは165億円、スノーピークが85億円なので約2倍ほどコールマンの方が売上としては大きかったようです。
モンベルがやっぱりすごいですね…
あと経営者各位に注目して欲しいのは「成長率」です。
モンベル、ゴールドウィン、スノーピークの成長率が他社よりも大きいんですよね。
このあたりはいつか深掘って調べてみたいですね。
消費者は「テント」をどこで買うのか?実店舗購入が75%の衝撃。
続いて、「消費者はどこでテントを買うのか」という購入経路の調査結果も開示されておりました。
これ委員会が独自で消費者アンケートされたのでしょうか…すごすぎますね。
なんと75%ほどが「実店舗でテントを購入する」と回答。
続いて、店舗でどのような接客を受けたかという調査もありました
さらに、68.2%が店舗で商品説明を受けたとのこと。表の上の文章に注目して頂きたく、店舗で説明を受けた916名のうち773名(84.3%)が説明を受けた店舗で購入しているとのこと。
このコンバージョン率、ECだと信じられなくないですか…なんだこの数字…。
最後に購入したテントメーカーの割合。X社はColeman、40%ほどがコールマンの製品を購入しています。
この資料、なんで無料で読めるんだ…(当たり前)
凄い資料が転がっているものだなと驚きました。資料内には他にも購入の決定要因(機能性)などのデータも開示されており、D2Cメーカーの方はその点だけでも見てみるとなにか参考になるかもしれません。
独禁法措置命令以降の「価格」推移も公開。公取委はバラツキが大きくなったと措置命令を評価。
最後に、「結局、措置命令をして値段は下がったのか?競争は公正に動くようになったのか」という点です。
下記がコールマン社の「テント」オンラインの価格推移。措置命令前後で比較があります。
続いて「ランタン」の価格推移がこちら。
パッと見、「そこまで値段は下がらなかったんだな」という気持ちを抱いてしまったのですが、公取委としては「良い結果になった」という評価のようです。
面白い資料が落ちているものですね…。政府系の調査レポートはたまにみるのですが、ビジネスに近いという意味では一番面白かったです。
下記より全文見れますので、是非ご一読ください。
コールマンジャパン株式会社に対する件 (再販売価格拘束事件) 事後評価報告書