昨夜Querieで情報提供頂き、かなり際どい案件のようなので緊急で記事を書いております。
昨年のIVS2022 LAUNCHPADで優勝した「PETOKOTO」、債務超過に陥っており、手元現金は残り600万円ということが判明しました。
ピッチコンテストの優勝スタートアップに何が起きているのか?実態に迫ります。
舞い込んだ「PETOKOTO」に関する一通のQuerie、ECFマーケットでは全ての情報が筒抜けとなる。
昨夜、IVS LaunchPad優勝した「PETOKOTO」が株式投資型クラウドファンディングに挑戦されているという情報を頂きました。
今見ましたが、これは…。1億円弱の債務超過ですね。
ランウェイも残1ヶ月切ってるように見えますけど、この状態でもCF案件として立ち上げOKなんですね。#querie_suan_newshttps://t.co/RRRKG0dtbq— SUAN / スタートアップメディア🎈 (@suan_news) December 3, 2023
PETOKOTOといえば、過去最大の応募数を記録したIVS LAUNCHPADで優勝したスタートアップです。なぜ、そこがECF(個人投資家向けクラウドファンディング)に?と疑問に思い、深掘りしたところ財務が火の車状態なことが見えてきました。
ではどのような資料が開示されていたのか見ていきましょう。
イークラウドから確認できる「PETOKOTO」の決算資料やリスク、目立つ箇所には債務超過の言及無しの違和感
イークラウドを見たところ、IVS LAUNCH PAD優勝スタートアップとして大々的に取り上げられておりました。総額1億円弱募集されるようです。
株式投資型クラウドファンディングの場合、個人投資家へのリスク説明のために財務諸表の提出が必要となります。PETOKOTOも同様に業績開示がされており、開示された資料がこちらです。
売上高については22年2.9億円、23年は4.1億円と、損益計算書を見る限り成長しており順調そうです。赤字は2期連続3.7億円前後とかなり厳しいものがありますね。
PETOKOTO 契約締結前書面よりその一方で、昨年、Launch Padで発表された1000万食という数字からは乖離を感じてまうのが正直なところです。試算と売上が乖離するので、かなり廉価なフードやお試しを含めて1000万食だったのかもかもしれません。
そして、衝撃だったのが貸借対照表です。2年連続での債務超過、さらに手元の現金は残り600万円となっておりました。1年以内に返済が必要な融資も1億円残っており、かなりマズい状況となっています。
売掛金1200万円を現金化したとしても、未払金が3000万あるので、手元現金がほぼ残らないのでは…。
イークラウド側のリスク条項では「返済に利用しない」と記載されていましたが、この状態だと実質的には流れますよね…。
直近のファイナンスも2000万を繋ぎで調達しているようで、ファイナンス自体が綱渡り的な状態になっていることが見受けられます。
歯に衣着せぬ言い方をすれば、数カ月後に破産してもおかしくないような財務状況です。
このような状況でのファイナンスであれば個人投資家にリスクを負担させるのではなく、既存投資家などから調達し、財務体質は強化してからECFを募るべきだったのではないでしょうか。
この財務状況ですと、結果的に既存投資家からのフォローが受けられなかったその先に個人投資家というように見えます。
本案件を担当したイークラウド、倫理コードでは顧客利益を重視としています。その一方でPETOKOTO社はこのラウンドでも評価額30億円で調達を募っており、PSR7.3倍という異常なバリエーションです。顧客側が投資回収できる可能性についてはどのように考えているのでしょうか。
債務超過の現状を意図的に隠しているわけではないと思いますが、投資判断に関わる重大事項です。
株式投資型クラウドファンディング、今後も成長していくと思いますが、顧客の利益なくして発展はありません。債務超過のスタートアップ投資においてはその点も理解した上で投資選択できるプラットフォームへの進化を期待します。
PETOKOTOの決算資料などECFで財務資料を見る方法を公式ラインで配布しています。「調査する力」はビジネスの基本です。手法を知り、ビジネスの糧にしましょう。