【独自】評価額58億円のスタートアップ、夜逃げか。D2Cストア「canme」運営のテックアットが音信不通に。

またしてもスタートアップによるインモラルな事案が起きてしまったようです。
D2Cストア「canme」を運営するテックアット社、彼らと取引のあった事業者からの被害報告が相次いでいます。

取引先の方々も連絡が取れなくなっており、支払いも滞っているとのことですが、謄本を見る限り計画的な夜逃げを行った可能性が高まっています。

謄本からどのタイミングで夜逃げを踏み切ったのかなどを推察していきます。またポンジスキーム的なビジネスモデルだった可能性もあり、営業資料から彼らのビジネスモデルの問題点を紐解いていきます。

昨年から福岡のスタートアップ「テックアット」に関する不穏な空気が漂う

実は昨年12月時点でSuanにもテックアットに関するリークが届いていました。

この他にもツイートを検索すると昨年11月時点から注意喚起を流すアカウントもいたようです。
おそらく内情を知っている内部の方だと思われます。

そして今回、冒頭で紹介したツイート含め、「店舗が閉店している」「テックアットに出資していたが連絡がとれない」というような被害情報が8月末あたりから報告されるようになります。

では、テックアットがどのような企業だったのか、何を行っていたのか具体的に見ていきましょう。

コスメの体験型ストア「canme」を展開していたテックアット、最終の評価額は58億円。

テックアットですが、Canmeという下記のような店舗を運営していたようです。全国のマルイなどにも出店していましたが、すべて8月31日に閉店しています。

いわゆるRaaSと呼ばれるビジネスモデルでb8taなどが有名ですね。
国内のイオンモールやマルイなどで8店舗以上展開していたようです。

さらにテックアットは店舗だけでなく、Shopifyで自社ECも展開していました。

引用:CanmeEC

マルイで1ブランドで出店するのは難しいが、テックアットのようなショップを使えば区画で出店が可能。

ブランド側は一等地で自社製品を販売できるというメリットがあります。ビジネスモデルとしては面白く、評価額も58億円だったようです。

引用:INITIAL

しかし、テックアットの営業資料を見たところ「売上がなくても売上を保証する」というかなり攻めた営業を行っていたことが判明しました。
今回の夜逃げに至ったのが、この「売上保証モデル」が原因だったと思われます。

テックアットの「Canme」の手厚すぎる売上保証モデルと、出店者からの疑い

テックアットの資料を見ていきましょう。
彼らは1区画に対して月額2~3万円をもらうというビジネスモデルだったようです。ここまでは普通ですね。

テックアット営業資料より

ここから手厚すぎるキャンペーンが展開されます。なんと売れなくても売上を保証するというもの。
つまり実質的にかなり安く商品を置けるという内容です。

テックアット営業資料より

そしてこの売上保証キャンペーン、最新の資料を見ると「保証金額」が異常に高まってきていた事がわかりました。
なんと、900万の費用に対して、2,500万円の保証をするという内容です。

テックアット営業資料より

この売上保証が夜逃げによって消えたというのが今回大きな問題となっています。
ヤフー知恵袋でもテックアットに関する投稿があり、売上保証期間のみ売上があるように見せかけていた疑惑も浮上しています。

続いてテックアットに関する謄本も取得しましたので、いつから計画的な夜逃げを画策していたかを紐解きます。

テックアット、7月末に取締役が全員退任、登記住所の異様な変更履歴も

謄本を見たところ、7月には全員退任していたようです。恐らくこのあたりから夜逃げ的行為を画策していたように思えます。

テックアット謄本より

ちなみにこのテックアット、やたらと事務所移転を繰り返しており、7回も登記住所が変更となっていました。
1回3万円かかるので20万円…。どうやら元々「タクトキャピタルパートナーズ」という社名だったようです。

テックアット謄本より

この社名で調べると口コミが…。

引用:転職会議

謄本を見たところ代表のお住まいがお家賃150万円弱のマンションだったのも気になりましたが、このあたりは割愛します。

スタートアップによる相次ぐ「ポンジ」的なビジネス。詳細な続報も。

スタートアップによるポンジ的な手法が相次いでいます。

次回はNASDAQに上場したWarranteeに関して取り上げます。
現在、彼らも出資したお金が戻ってこないという係争を現在抱えているようです。

一体どうなっているんでしょう、「スタートアップ界隈」

【追記】福岡の経済メディアから続報がきていました。詳細に書かれておりましたのでぜひ御覧ください。

1000万円以上の被害を受けている方もいるようですので、早急な解決を望みます。

【追記】テックアットと連絡が取れていない事業者さまへ

anteadの板垣氏がテックアット委託先倉庫と連携を取っており在庫返還に動かれているようです。

タイトルとURLをコピーしました