田端信太郎氏による「正論」の進撃が止まりません。
同氏が24年4月から発信していたアクティビストとしてのメルカリ提言。実際に同社の米国事業で45%レイオフがされるなど、提言の多くがメルカリ経営に反映されています。
生きるレジェンド・メルカリ山田CEOの猛攻が続く。
○メルカリUS事業の従業員45%をレイオフ
○メルカリUSユーザーにメルカリ日本市場の購買機会を提供
○獲得報酬2%のSNSアフィリエイトプログラム「マイコレクション」を開始
○newmoに追加出資し、メルカリハロを通じてライドシェア事業に本格参入… https://t.co/njHmLQVL1d pic.twitter.com/cxLo3EcNuM— GOLDMAN (@act_of_death) July 11, 2024
また、株主総会での質問も田端クエスチョンがスルーされたにも関わらず、一般株主から類似の質問が提出されるという事態に。
この結果の影響か、メルカリは毎年公開していた株主総会でのアーカイブ動画から質疑応答部分を削除しています。
直近の田端信太郎氏アクティビズムの結果を振り返りし、過去に田端氏からの猛撃にうまく対応したGMO熊谷氏の事例から向き合い方を探ります。
田端信太郎氏、直近のアクティビズムを振り返る。11/5~11/7だけで3件に影響を及ぼす。
驚いたことに直近3日間だけでも下記3つのアクションに影響を及ぼしています。
・2024年11月5日:米国メルカリCEOに山田進太郎氏、ラーゲリン氏は退任–「想定以上に厳しい状況」受け
・2024年11月7日:タイミー「ガイアの夜明け仕込み」発言の謝罪
・2024年11月7日:「株主を軽視しすぎ」落合陽一 ─女性自身
それぞれの大きなアクションに、個人が社会的に影響を与えていると考えると衝撃です。
個別に見ていきましょう。
1.11/7タイミー広報の「ガイアの夜明け仕込み」発言。場外に飛び火した後にCEOが謝罪。
1つ目がタイミー広報のガイアの夜明け仕込み発言への謝罪です。
ガイア夜明け放送後、タイミー広報さんが「ガイアの夜明けを仕込んでいた」と投稿。
この投稿に対して元「ガイアの夜明け」ディレクターの下矢氏が表現が適切でないと指摘を続けておりました。
今の「ガイアの夜明け」の制作メンバーはチーフプロデューサーを筆頭に、仕事の能力や取材先への向き合い方、人間性とテレビ東京の報道のなかでも最高のメンバーが揃っているので、こういう投稿はほんとうに腹立つ。テレ東に1時間のドキュメンタリー枠なんてない時代からつくってきた先輩方にも失礼。 pic.twitter.com/HFHCvhvDnM
— 下矢@広報支援 (@KazShimoya) November 3, 2024
このタイミングではそこまで炎上していなかったのですが、WACUL社外取締役で広報専門家の船木夫妻の登場で再炎上します。
着火のきっかけとなったのが「若手広報をいじめている」という旨の投稿。
この晒しはひどい。元テレ東ディレクターがただただ若手広報をいじめてるよう。しかも何度も何度も繰り返し投稿し非情だ。リポスト含め10回以上も投稿。晒された広報担当がこの三連休どんな思いでいたか想像するといたたまれない。… https://t.co/LnVgj30mkp
— 舩木真由美 | シプード代表(PRMエバンジェリスト) (@funakin) November 4, 2024
これに対し、田端氏と下矢氏が猛撃。指摘をした船木氏の短いスパンでの転職などが明らかとなってしまう結果となりました。
プロの不手際に何がイジメだよw
プロの世界に「若手」「3連休のお気持ち」とか関係ない。「1人広報だから!」とか「若手」だから、とか、広報のくせに自己中で、内輪の論理だから手厳しく、ダメだしされるの!
バカと下手は晒される、それがプロ。嫌なら鍵垢にしとけ! https://t.co/A6x5I1ic5F
— 田端 信太郎@ ㊗️メルカリ米国CEOクビ (@tabbata) November 4, 2024
ところで貴殿の経歴について質問です。“人気テレビ番組フジテレビ「とくダネ」の制作現場を経て、国内No1の大手PR会社でキャリアを積んだ。”とプロフにありますが、実際は
「2001年 (株)メディア・バスターズ入社。(株)フジテレビジョンへ出向し、テレビ番組「とくダネ」の制作を担当。
2003年… https://t.co/jexpw9WcAO pic.twitter.com/pRqPWgbLJd
— 田端 信太郎@ ㊗️メルカリ米国CEOクビ (@tabbata) November 4, 2024
「(株)フジテレビジョンへ出向」とあるけど、まず制作会社から局への出向は通常、ない。1億歩譲って「出向を常駐の意味で使った」という言い分あるかもしれんが、だったらなぜ、一般名称の「フジテレビ」ではなく、わざわざ社名の「(株)フジテレビジョン」なのか。しつこくて、すまんが。。 https://t.co/EHi8yetBsy
— 下矢@広報支援 (@KazShimoya) November 7, 2024
そして、11月7日。タイミー小川CEOからの謝罪へと繋がります。
一時は沈下していたものの再燃し、謝罪に発展していることから田端氏や下矢氏の影響もあったのではないでしょうか。
続いてメルカリ関係の動きを見ていきます。
2.11/5メルカリへのアクティビスト活動。提言通りに米CEOは辞任。米穀事業は縮小へ。
11月5日、メルカリは米国CEOのジョンラーゲリン氏が退任すると発表。
これも田端氏がメルカリに対して、米国事業を撤退すべきと提言し続けていたものに関連します。
米国事業からの撤退を求める、メルカリ一般株主の声が、田端のアクティビスト動画のコメントに集まり出している!?
>メルカリ山田CEO @suaddを救いたい!【アクティビスト個人投資家:田端が始動!】 https://t.co/730GB7Bism pic.twitter.com/3mmr78Qq0u
— 田端 信太郎@ ㊗️メルカリ米国CEOクビ (@tabbata) April 29, 2024
メルカリ米国事業のGMV自体はそこそこ大きいので「投資」と言い切って続ける選択肢もありそうでしたが、田端氏の提言開始以降にかなり踏み込んだ縮小を実施。
米国社員の45%をレイオフするなど含めてコストを削減し、経営改善を目指しています。
生きるレジェンド・メルカリ山田CEOの猛攻が続く。
○メルカリUS事業の従業員45%をレイオフ
○メルカリUSユーザーにメルカリ日本市場の購買機会を提供
○獲得報酬2%のSNSアフィリエイトプログラム「マイコレクション」を開始
○newmoに追加出資し、メルカリハロを通じてライドシェア事業に本格参入… https://t.co/njHmLQVL1d pic.twitter.com/cxLo3EcNuM— GOLDMAN (@act_of_death) July 11, 2024
このあたりも時系列から振り返ると田端氏による強い提言が影響していたように思います。
3.11/7ピクシーダストテクノロジーズの上場廃止、女性自身が追加報道に発展
最後に落合陽一氏率いるピクシーダストテクノロジーズについてです。
上場コストが高いからという理由で非上場化するという前代未聞の動きをした同社。
ピクシーダスト、上場ゴールから1年で株価1/10にした上で上場廃止は顔中草まみれなのよ
市場から金吸って消えただけの会社ね「株主を軽視しすぎ」落合陽一 代表務める会社が1年2カ月で上場廃止も説明ナシに広がる失望…元ZOZO執行役員も猛批判(女性自身)#Yahooニュースhttps://t.co/ziSSxBY2GV
— とあるコンサルタント (@consultnt_a) November 7, 2024
案外だれもツッコまず、ビジネスメディア関係も取り上げておりませんでした。
これに対して、田端さんだけ継続して追求し続けています。
「え、上場廃止ですか?!」
今頃、ピクシーダストの株主は驚き、慌てふためいているだろう。
でも、ちょっと待って欲しい。俗世間の凡人ビジネスパーソンの規範で、「天才」落合陽一の振る舞いを判断するべきではない。… pic.twitter.com/PRwvfev2Ua
— 田端 信太郎@ ㊗️メルカリ米国CEOクビ (@tabbata) November 1, 2024
結果的に11月7日、田端氏による投稿や表現を引用する形で女性自身が報道。Yahooニュースに掲載されています。
Yahooニュースのコメント欄でも辛辣なコメントが相次いでいます。
ちなみに未だに落合陽一氏は非上場化について発信しておりません。
メルカリとタイミーは影響度合いが不明瞭でしたが、こちらは直接的に田端氏が追求した結果として、メディア報道へと発展しています。
ではこのような田端信太郎アクティビズムに、企業はどう向き合うのが正解なのでしょうか。GMOの対応ケースを振り返りましょう。
田端信太郎アクティビズムとの向き合い方:GMO熊谷さんの事例
どうやら、GMOの熊谷さんの対応が直近だとベストな回避方法だったようです。
@tabbataさん 回答が遅くなりました。ご提案感謝致します。当時オアシスさんからも同じ内容をいただいてます。下記①②で詳細にご説明しておりますのでご一読ください。
ご指摘・ご提案ありがとうございました!… https://t.co/7gN543qED2
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) April 14, 2024
いま振り返ると、このように直接取り急ぎ丁寧な回答をすることに加え、対応窓口を案内するという対応が正解だったように思います。
未だにたま~に自家用ジェットについては触れられていますが、そこまで執拗なものではありません。
@tabbataさん 追加のご質問やSONICへの登壇リクエストなど、今週も大変興味深いご提案をいただき、誠にありがとうございます(思わず爆笑しました)
↑4月14日にもお伝えしましたが、私の週末は休暇ではなく、翌週以降の業務に向けて勉強や準備に充てる時間です。…
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) April 20, 2024
田端信太郎氏の一連の投稿や発信、言葉尻や表現、粘着性は強いものの、その多くは芯を食った内容です。
指摘も事実や根拠にも基づいており、過激な表現を取り除けば指摘は真っ当なものです。
しかし、メルカリ側はこのような動きに対しても「誹謗中傷」と一括りにし、法的措置をするようなリリースを開示しています。
いまこそ、メルカリは田端氏と対話するべきではないか。
個人株主でありながら影響力を持つ田端氏は、未だにメルカリに対して強い批評行為を継続して行っています。一方、田端氏の発信を見る限り、メルカリは田端氏との対話の場を設けていないのではないでしょうか。
こんなんだから、日本のスタートアップはダメなんですよ! おーい!山田くん @suadd 聞いてるか?
>資本市場ではまるで評価されていない会社(メルカリ)が日本を代表するスタートアップとして今もリスペクトを集めてる https://t.co/8FQ4rjCxZ2
— 田端 信太郎@ ㊗️メルカリ米国CEOクビ (@tabbata) November 6, 2024
一般的に考えて、好きでもない企業の株を買って、勝手にアクティビスト活動をする個人なんておらず、上昇余地があるからこそ提言をしているはずです。
1400人以上の社員を抱えるメルカリ。いまこそ、メルカリを発展させるためにも経営陣、広報、IR担当は影響力の強い個人株主である田端信太郎氏と対話をする必要性があるのかもしれません。