昨日1月18日、フォースタートアップス(7089)の運営するSTARTUP DBが発表したスタートアップ評価ランキング、ご覧なられましたでしょうか?
国内スタートアップ評価額ランキングTOP20最新版(2023年1月)です。「いつでも働いた分の給与にアクセス」ADVASAが2,301億円で2位に急上昇。五常・アンド・カンパニーは70億円調達。GVEも評価額増となりました。 pic.twitter.com/URNcEeypIs
— Yuichiro Shimizu (@You7089) January 17, 2023
評価額2000億円で突如ランキングの2位に急上昇した「ADVASA」という会社。フォースタートアップス代表の志水氏によると、どうやら給与の即日支払い系のサービスをしているとのこと。
今回こちらのADVASAを調べたところ、過去に上場廃止となった仮想通貨との関係や、逮捕された議員とのつながりが明らかになったので記事にさせて頂きます。
評価額2000億円の「ADVASA」、事業内容は給与の即日払い。だが、導入企業の姿が見えず。
ADVASAのサービスですが、サービスサイトを見たところ「給与の即日払い」サービス「FUKUPE」を運営されているとのこと。
こちらのモデル自体をOEM提供されており、国際特許も保有。世界82カ国に特許申請中とのことです。
自社で成功したビジネスモデルを、OEMでパートナー企業に提供するというモデルのようですね。
特許も保有しているとのことなので、後で調べていきます。
一方で、サイト上に導入企業の名前はなく、
・どのような企業がFUKUPEを導入しているのか
・FUKUPEサービスのURL
などは全くわかりませんでした。
この評価額でサービスサイトが存在せず、法人のコーポレートサイトだけしか出てこないことに違和感を感じます。
ちなみに運営するサービス「FUKUPE」のUIは20万円弱で作られたようです。
20万弱のデザインで評価額2000億円…夢あるなぁ。
ADVASAの評価額2000億円はどのようなロジックなのか?増資歴を確認する
どうもおかしいなと感じ、登記簿謄本を取得してみたところ、評価額が倍々ゲーム以上に増えていっている履歴が発見されます。
最終評価の増資はたった0.5%の持ち分で10億円も調達されてるんですよね。出資者のメリットがなさすぎます。
とはいえ、短期間でサービスが異常に伸びている可能性もあると思い、被保険者数と住所を調べてみました。
ADVASAの登記住所はリージャス(レンタルオフィス)、被保険者数はたった4名。
まずはADVASAが登記されている住所の「東京都港区元赤坂一丁目2番7号赤坂Kタワー4階」を調べてみます。
リージャス(TKPが買収して、三菱地所に売却したレンタルオフィス会社)の住所でした。
時価総額2000億円がレンタルオフィスというのは、にわかに信じがたい状況ですね…
続いて、被保険者数を調べたところ、、
なんと、ADVASAの被保険者は4名でした。評価額2000億円の企業ともなると、さぞかし社員も多いものだと思いましたがかなり少ないですね。
ストックオプションで100億万長者が続出しそうな規模感です。
ADVASAの商標・特許を調べてみると、上場廃止となった仮想通貨「JOBCOIN」との繋がりが発覚
続いて「特許を取っている」とのことなのでADVASAの商標登録状況を調べてみると複数の登録が確認できました。この中で一つ「ジョブコイン」というのが気になったので調べてみると…
2019年にIEOし、上場廃止となった仮想通貨「ジョブコイン」という情報が出てきました。
警察資料、証拠保全資料となるnoteも…
ジョブコインも給与を即日払いにするというテーマの仮想通貨だったようで、恐らくADVASA社が商標とっていることとコンセプトの類似性から強く関わっている可能性が高いと思われます。
ちなみに2019年に仮想通貨取引所に上場後、2020年末には廃止。まさに紙くずと化した仮想通貨です。
もしこの仮想通貨「ジョブコイン」に関わっていたとすれば、一般的なスタートアップとは別の香りもしますがどうなんでしょうか…。
ADVASA、社長の入れ替わりもやたらと激しく、年に1度くらいの頻度で社長交代。オーナーが別に存在の可能性を感じる
登記簿で気になったのが調達額だけでなく、ADVASA代表者の変遷です。
このように年に1度くらいの頻度で代表者が交代している状態です。
この状況を見ると、アントレプレナーが立ち上げた、というよりもオーナーや出資組織が別にいるような空気を感じますね。出資者を開示されていないので、可能性としてはありえる気がします。
ちなみに代表者以外の取締役も同じような状況でした。
ADVASA、パチンコ業界に根強い政治家の方への献金も。
ちなみにこちらのADVASA、2021年に汚職事件で4年の実刑判決を受けた秋元司議員への献金も行っていたようです。
スタートアップが後援会にお金を出すってなかなか聴かない話だなと感じですよね。
それに加えて支援先も汚職で逮捕されている議員さんとなると、出資者としてはどういうお金の動きかは気になってしまいます。
フォースタートアップスの「スタートアップランキング」に感じる空虚さと危うさ。国内2位という証明は、いつかなにかの営業に使われるのではないか
ADVASAが評価額ランキング2位になってしまったのは、スタートアップにおける評価額の「ハック」なんですよね。C種優先株なんて0.5%の持ち分しかないにも関わらず、この持ち分をベースに評価額が計算されてしまっている。
このロジックでランキングインできるなら、例えば下記のようなハックが可能になります。
1株1円で100万株で起業し、後に1株100万円のC種優先株を1株発行する。すると、、
不思議なことに100万円の追加出資だけで、1兆円起業が爆誕してしまいます。
このようにフォースタートアップスが実体を見ずに評価額だけを無条件にランキングすることは空虚で無意味です。このようなランキングを大きくプレスリリースを出していると、いつか「ランキングという権威が悪用」される危うさを感じます。
せっかくの評価額ランキングですので、よりスタートアップ業界の実体と近いランキングになることを期待します。
おや、、どうやらルノアールの方角から、何か話し声が聞こえてきましたね。ADVASA社の謄本を見てみたい方はSuan公式 LINEまでご連絡くださいませ。