売れるネット広告社のスゴい知財戦略。その一方で保有商標の『クリエイティブ最適化』はついに登録拒絶。自由になるか。

前回の「コンサルが電話のみ解約阻止を助言している」という記事ですが、大変多くの反響を頂きました。

その後、売れるネット広告社の加藤氏からはブロック&謝罪後に「誹謗中傷」とつぶやかれていたり、「ヒトラーを引き合い」など少し残念な結果となりました…。

 

今回は売れるネット広告社さんのネガティブなお話ではなく、「売れるネット広告社」のスゴい知財戦略について特集です。
あまり知らなかったんですが、多数の商標を取得されておりました。

■前回記事
大手D2C通販、140社中90社が電話解約のみか。背後に「電話解約のみにすれば解約率は下がる」と流布するコンサルの存在。

商標出願件数は90件、獲得した商標を元に競合に「不正競争防止」を訴える戦略

商標検索ポータルで検索したところ、なんと23年現時点で90件も出願申請されておりました。

商標ポータルより

フォントを小さくして下記にまるっと取得されていた商標をご紹介します。


確認画面でアップセル,クリエイティブテスター,フォローLINE,ステップLINE,フォローSMS,ステップSMS,フォローショートメッセージ,フォローショートメール,フォローメッセンジャー,売れる\ネット\広告社,売れる\ネット広告\つくーる,売れるネット広告∞つくーる,最強の売れるノウハウ,本気ならチェックボックス,引上専用ランディングページ,引上専用フォローメール,リピート専用フォローメール,リピート専用ランディングページ,クロスセル専用フォローメール,クロスセル専用ランディングページ,アップセルアンケート,フォローMMS,店舗CRM,申込フォーム一体型,申込フォーム一体型ランディングページ,申込フォーム自動入力,ステップMMS,売れるネット広告社,フォームでアップセル,売れる∞アドネットワーク,ureru,アンケートランディングページ,ダブルアップセル,申込フォーム一体型記事広告,2段階割引アップセル,確認ページでアップセル,ウレル,売れる通販,売れるカートシステム,売れる通販カート,売れる通販サイト,売れる通販ビジネス,売れる通販コンサルタント,売れる通販研究所,売れる通販ノウハウ,売れるネット通販,売れる通信販売,売れるネットショップ,売れるオンラインショップ,売れるECショップ,売れるECサイト,売れるコンサルティング,売れるメディア,売れるデザイン,売れるランディングページ,売れるLP,売れるD2C,売れるDtoC,売れるサブスク,売れるサブスクリプション,売れる広告,売れるテレビ広告,売れる新聞広告,売れる雑誌マガジン広告,売れるラジオ広告,売るネット広告,売る広告,レスポンスの魔術師,コンバージョンの魔術師,ネット広告の魔術師,売れる魔術師,ランディングページの魔術師,最強の売れる仕組み,売上がアップする最強の仕組み,フォロープッシュ通知,ステッププッシュ通知,最強の売れるメディア,チャットフォーム一体型,チャット申込フォーム,最強の売れるノウハウ\プラットフォーム,最強の売れるメディア\プラットフォーム,最強の売れるノウハウ\クリエイティブ自動制作,チャットフォームでアップセル,チャットでアップセル,事後アンケート専用ランディングページ,完了ページでクレカ変更,完了画面でクレカ変更,売れるネット広告,売れるD2C つくーる,クリエイティブ最適化  以上、「売れるネット広告社」の出願商標一覧

よく使うようなワードも多く、「これ、売れるネット広告社さんの商標だったんだ!」と驚きますよね。この商標を利用して、競合に対して差止めなどを行っているようです。

2018年、侍カートを展開する「FID」に対して差止め請求

売れるネット広告社さんのリリースさんから下記のようなリリースが出されていました。商標侵害などで差止め請求、変更に至ったという内容です。

下記のBEFOREで書かれていた「確認画面でアップセル」という表現に対して差止め請求を行い、変更が入ったとのことです。

スゴいですよね。この実行力と知財の扱い方。
ただ、その一方で、2011年に登録した商標が有効期限切れ、更新で「拒絶」されていることが判明しました。

その拒絶商標こそ「クリエイティブ最適化」です。

「クリエイティブ最適化」の商標を取得後、各社に対し差止め請求を行っていたか

クリエイティブ最適化という言葉自体、一般的な用語なので取れることが驚きだったんですが、取得後に各競合に差止め請求を行っていたようです。SEO辻さんのツイートで判明しました。

この投稿に対して、売れるネット広告社の加藤氏より下記のような返答をされていました。
あざっす♪wという関係性なので、お知り合いなのでしょうか

うーん、「王道」か…。商標はあくまで自分自身の構築したブランド権利を守るものです。
クリエイティブ最適化は一般的なワードであって、その言葉を取得、競合に使用差止めは中々攻めているなと感じました。

取得範囲も「広告」「コンサル」とのことです。(元売れるネット広告社の方のツイートより確認)

広告代理店のサイト上で「クリエイティブ最適化します!」というような表現もNGそうですよね。プレスリリースとかでもNGなんですかね?

今回このクリエイティブ最適化、「商標申請の更新」が拒絶されていることが判明しました。

「クリエイティブ最適化」の商標登録が拒絶。拒絶理由と、売れるネットの秀逸な反論。

22年7月に再提出された「クリエイティブ最適化」、22年11月に拒絶されていました。

商標申請ポータルより

拒絶理由は下記の通り。一般的に使われているから登録できないという理由です。

商標ポータルより

まあ長いんですが、要するに良く使われる言葉だよねみたいな内容ですね。それに対して売れるネットの反論はこちらです。辞書登録されていないし、というような反論でした。

商標ポータルより

こうやって通していくのか!と参考になりますね。
他にも理由を複数挙げられていて、特に下記の「過去通したのはなんでなんだ」みたいな前例主義をうまく突っつくような異論はかなり有効そう。

商標ポータルより

現在まだ審議中なのでどうなるかわかりませんが、また商標が取られた暁には「クリエイティブ最適化®」となりますので、皆さまご留意ください。

そもそも「クリエイティブ最適化」は誰が言い出したのか?2010年にリクルートがリリースを出していた

そもそもこの「クリエイティブ最適化」というワードですが、遡るとリクルートが2009年あたりから使っていました。
他にもコラムなどでも常用されているようで、一般的な業界用語だったことがわかります。

こういう既に使われているワードを取っていく戦略、通常はレピュテーション面も考慮してあまり積極的にやらない企業が多いですよね。

賛否あると思いますが、実際にやってるのはスゴいと思いましたのでご紹介でした。SUANとしては商標の本来的な使い方ではないような気がしてしまうので、否定的な見方をしています。

■前回記事
大手D2C通販、140社中90社が電話解約のみか。背後に「電話解約のみにすれば解約率は下がる」と流布するコンサルの存在。

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