先日、NASDAQに上場したWarrantee、ポンジスキーム的なビジネスを行っていた可能性が浮上しています。
そして、目論見書からバチェラー出演女性との内部取引が見つかるなど、歪なWarranteeの経営実態に迫ります。
【前回記事】Nasdaq上場の日本企業「Warrantee」、たった20日で株価4ドル→1ドルに下落。正社員も1名→0名か。
Nasdaq上場のWarrantee、秀逸なビジネスモデルで上場していると公表していた
7月25日にNasdaqに上場した日本企業「Warrantee」、国内市場ではなく海外での上場ということもあり各メディアで報道されました。
Warranteeは無料保険(フリーインシュアランス)というビジネスモデルを展開しており、メーカーからスポンサー費用を貰うスキームで、保険を無料提供するビジネスモデルだと謳っていたようです。
この斬新なビジネスモデルが日本経済新聞含む各メディアに報道され、Xでも称賛する声が多数見られました。
Warantee ワランティがモーサテで紹介。
自分のハードビジネス経験からいけば、素晴らしいアイデア。
・エンドユーザーの情報を入手できるメーカー
・登録後1年の無償保証をもらえるユーザー番組で紹介しなかったフリーヘルスケアも面白い。
NASDAQ上場を応援したい。https://t.co/vaL21jfeK7— 北原祐司 /世界はServiceNowでうまくいく (@yuji_x_kitahara) November 14, 2022
今年2月にNASDAQに上場申請したWarantee、資本金1,100万円しかないということは、ほとんど外部の資本が入って無さそうですね。資金調達無しでNASDAQとはすごすぎる。 pic.twitter.com/b48H0W2iUi
— HiroC (@HiroC55) March 17, 2022
WarranteeのNasdaq上場めちゃ嬉しい。
私がPlug and Play Japan立ち上げのときに、一番最初のBatch0に入ってくれた思い出のスタートアップ。https://t.co/CCpcS6R6vv— Mariko Yazawa/ Venture Capitalist (@aircom) August 1, 2023
しかし、このWarrantee社が裏で節税ビジネスを展開しており、その配当金が滞り、トラブルを抱えていたことが徐々に見えてきます。
Warrantee、節税出資案件で運用配当の滞り。ポンジ的スキームの可能性も
Warrantee、NASDAQ上場直前に被害者の会というTwitterアカウントが立ち上がっておりました。
被害者の会を立ち上げました。購入したダイキンエアコンのオーナーである我々は利害関係社に購入事実を確認し、どこに設置されているかまずは確認する権利があります。@seira_m_seira @shounoYSK @daikin_jp @century21_japan https://t.co/vhrfvPI1n7
— warranteeダイキンエアコン被害者の会 (@victimwarrantee) April 28, 2023
こちら、調査したところ、Warrantteeが公表しているビジネスモデルとは全く関係のない節税プランを富裕層向けに展開していたようです。
少し解説しますと、法人税は利益に対して発生するため、損金として落とせる10万円未満のものを大量に購入し、利益を減らして法人税を削減しませんかというようなビジネスというわけですね。
さらに富裕層向けということもあり、相続制での節税効果も強調しているのが特徴的です。
ちなみにこのような節税方法ですが、実は2022年4月から法改正が入り通用しなくなった節税スキームですので注意してください。
Warranteeの提案が特徴的なのが、損金で落とせるだけでなく長期に渡って運用手数料が収入として入ってくるとアピールしていました。
このレンタル収入の支払いがWarranteeから滞るという問題が起きていたようです。なんと被害者200名とのこと。
ダイキンエアコン被害者の会です。株warrantee(株レンタルソリューションズ、株ゼニー)がダイキンエアコンを令和2年前後で数万代購入している筈ですが購入実績が出てきません。現時点でポンジスキームと言わざるを得ない本スキームの被害者は約200名。調査のご協力をお願いします https://t.co/4BTGOyRAzP
— warranteeダイキンエアコン被害者の会 (@victimwarrantee) July 30, 2023
実際にリースしていれば滞ることがありえないビジネスモデルな訳です。ですが、契約書に記載のあるエアコンの設置先がオフィスビルとなっていたり、雲行きが怪しくなります。
実際にWarranteeが数百台以上のエアコンを購入していたのかは不明です。
ですが、支払いは滞ってしまっており、ポンジスキーム的に原資から手数料を渡していたと疑われても仕方ないような状況に陥っています。
万が一、実際にエアコン自体購入しておらず出資者に嘘をついていたとすれば詐欺事件として認められる可能性もありえます。
こちらの問題、Warrantee本体ではなく、子会社WRレンタルソリューションズが問題を引き起こしているのですが、代表は松木星良さんという女性となっていました。
なんと、こちらの松木氏、バチェラーに出演していた女性だったようです。シーズン3・4に連続して出演されていた松木さんです。
松木さんについては後ほどのSEC資料でもまた名前が登場し、異様な取引関係が明らかになります。その前にWarranteeの謳っている事業モデルのおさらいと上場前後の会社サイトの変化を見ていきましょう。
Warranteeの公表する「フリーインシュアランス事業」と役員記載の消滅
Warrantee、無料で製品をリースし、その利用した顧客データをメーカーに渡すという事業を行っているとあらゆる媒体で説明しておりました。
今回トラブルとなっているレンタル事業についてはSECの目論見書含め、どこにも説明されていません。また、上場後に役員の記載がサイト上から消えたことも分かっています。
なぜ消す必要があったのか、不思議です。さらに、正社員も0名という状況に雲行きがさらに怪しくなります。
どうもWarranteeという会社がきな臭い。1年ほど前に「社員9人で米ナスダック上場」と取り上げられたベンチャー。
しかし9人どころか 目論見書には正社員1名と説明があり、厚生年金被保険者数を調べるとマジで1人。
「これ0になるんじゃw」と見守っていたのだが、この度めでたく(?)0人となった pic.twitter.com/0cyBNrXGXV— 今井サーメン恭子 (@imai_kyouko) July 4, 2023
そしてWarranteeがSEC(米国証券取引委員会)に提出した目論見書から、さらに驚きの内容が明らかになります。
目論見書から見えてきたバチェラー出演女性の存在。収益の大半が元子会社との取引か
WarranteeがSECに提出した目論見書を見ていると「収益の100%がPaygeneという企業」という記載が見つかりました。
耐久消費財部門における収益の100%とも読めますが、どちらにしても収益の大半をPaygeneが占めているようです。※ぜひ原文をご確認ください。
このPaygeneという会社の情報をさらに見ると、Seira matukiという方が代表を務めいることが判明します。先程のバチェラー出演女性と同じ方のようですね。
このPaygeneの謄本を取得したところ、何故か全く同じ「ペイジェン」という社名の会社が2つ存在しており、代表は同じく松木 星良さん。
恐らく、関連会社からの収益と見られないように上場用に資本を切り分けて子会社ではなく独立会社として切り分けたのではないでしょうか。
なぜそこまでする必要があったのかわかりませんが、事業実態としてのリースを隠したいとすればこのような関連会社隠しとも言える行為には納得がいきます。
そして、エアコンレンタル事業の収益未払いトラブルは会社としてではなく、弁護士事務所が対応されると8月末に発表されています。
松木さんがどの程度の裁量があるのか不明ですが、早急な対応を望みます。
Warrantee庄野氏、過去に「有名人D2Cコスメ」も展開か
さらに、Warranteeに関して調べていると有名人を起用したD2Cコスメ事業などを別会社で行っていた痕跡も見つかりました。
SEC資料に記載されていた関連会社のZENY、謄本を取得したところ化粧品開発と記載があったので調査を行います。
検索すると求人ページを発見、さらに深ぼるとhugmiというドメインを庄野氏が取得していることがわかりました。
こちらのhugmiを調べたところ、有名人コスメでした。
庄野氏、Warranteeの経営も行いつつ、別会社ではD2Cの開発・販売も行っていたようです。
それにしても、調べても調べても、Warranteeが公表しているフリーインシュアランス事業への注力具合が見えてきません。
一体、誰がこのような状況のWarranteeを称賛していたのか、1人の記者の存在が浮き彫りとなりました。
日経のシンガポール駐在記者が持ち上げ続けたWarrantee、ビジネスの実態調査なしで記事化か。メディアの功罪。
Warranteeですが度々日経などの大手メディアに取り上げられておりました。その数なんと34件。
さらに調べたところ、Warrantee関連の記事は日経QUICK シンガポールの秋山記者が連続して執筆をしていたことが判明します。
実はWarrantee代表の庄野さんも実はシンガポール在住なんです。
つまりこれ、シンガポールの仲の良い記者に記事を書いてもらっているというような構図なのではないでしょうか。
メディアがビジネスモデルを裏取りもせず持ち上げることで、ポンジスキーム的な商法は営業しやすく、出資も受けやすくなります。今回の日経新聞の異様な取り上げ方は非常に残念に感じます。
NASDAQに上場したから凄いではなく、VCは「顧客価値」に目を向けるべき
今回のNASDAQ上場に際して、Warrantee凄いというような声が多く聴こえました。
彼らが上場にかけた費用などもSEC資料から読み解けますが、莫大な金額を使って上場させています。
上場することももちろん大切ですが、最も大切なのは「顧客」ではないでしょうか。
顧客への価値提供の結果として、上場やEXITがあるべきです。
Warrantee、上場しても未だトラブルは解決しておらず、やり取りも弁護士に全面委任している状況です。このような企業を果たして称賛してもよいものなのでしょうか。
この現在も、収益分配が滞っている被害者の方がおられます。早急な解決をお祈りしております。
【前回記事】Nasdaq上場の日本企業「Warrantee」、たった20日で株価4ドル→1ドルに下落。正社員も1名→0名か。