日本初のスタートアップ政党「チームみらい」が挑む、国家最大のイシュー。あなたの一票で未来は書き換わるか。

参院選投票前日の土曜19時、東京駅前は熱狂していた。
スタートアップや、エンジニアとして最前線を走ってきた若者たちが、「政党」という未知のプロダクトを創り上げた瞬間を目撃しているのだ。

昨年、「チームみらい」の党首安野氏はエンジニアというキャリアから政治に飛び出した。
まさか国政を変えにいくとは当時想像していた方は少ないのではないか。

彼の都知事選の街頭演説はたった数名の聴衆からはじまった。
初期に演説に来ていた聴衆の殆どは安野氏の友人だったという。

あれから1年、この場には数千人以上の聴講者が集い、その熱気は夜空へと立ちのぼっていた。

115兆円、いわば国内最大のレガシー産業である「行政」。
この領域に対して、スタートアップ政党がいよいよ明日挑みにいく。

支出総額115兆円、国内最大のレガシー産業「行政」に挑むスタートアップ政党が誕生した

国の一般会計だけで年間115兆円。製造業も通信も束ねた規模よりはるかに大きい“未整備マーケット”に、スタートアップ的な思考で殴り込む新党 「チームみらい」 が動き出した。

従来のスタートアップ系人材であれば「創業→資金調達→企業価値→EXIT」という王道であるが、彼らは金銭的なリターンより国家・公共に対するリターンを優先した。

確定申告の自動化も目指すとのこと

目指すのは「デジタル民主主義」、国家そのものをDXしていく。

チームみらい候補者の経歴・実績を眺めれば、仮にスタートアップであればシリーズA時点で数十億円規模も現実的なチームであるとスタートアップ界隈やVC経験者なら感じるであろう。

チームみらい候補者の簡単経歴一覧

彼ら候補者自身がスタートアップに飛び込み金銭的リターンを目指すという選択肢がもちろんある中で、彼らは「行政こそ国内最大のレガシー産業だ」と決断し、政治というフィールドに飛び込んだ。
この決断そのものが、既存システム全体を揺さぶる前例のないインパクトの大きいうねりである。

スタートアップ界隈やエンジニアとして鍛えたプロダクト開発力を「国家のOS改修」に振り向ける。
チームみらいによるデジタル戦略が成功すれば、日本のデジタル政策そのものが“次の成長産業”になるかもしれない。

たとえ1議席でも。“永田町エンジニアチーム”が立ち上げられる

チームみらいが掲げる目標は明確で「国家のDX化」だ。「1議席でも獲得できたら、政党助成金で永田町にエンジニアリングチームを組成する」という。こんな発想、聴いたこともない。

1議席の獲得のみで「エンジニアチーム」を永田町に設置すると提言

永田町にエンジニアを送り込み、自前システムを開発、行政に無償提供するという話だ。
いわば「内製エンジニアチームとしての政党」を目指す宣言であり、スタートアップ時代に培ったチームビルド力が、そのまま永田町に移植される。

チームみらいの提言する主要なデジタル施策。政治家のクレカ対応提言が面白い。

チームみらいの提言、面白いものが多いのだが主要3つを紹介する。

1.お金の流れの透明化で「政治と金」の問題をなくす。

まず、「政治と金の問題」である。これを透明化でなくしていくとのこと。
専用クレジットカードでリアルタイムにウォッチしていくというのが面白い。

さらに政治資金の流れも透明化させていくとのことで、すでに一部は実現している。

実は政治資金収支報告書はすでにネットで各政党公開されている。
少し見てみるだけでも、とある政党の収支報告書には使途不明の個人宛送金が多数、1000万円など大きな単位で動いていた。

とある政党の収支報告書。使途不明の個人送金が続く

先日も人気政党の年間支出10億円のうち、20%が社員0-2名の零細企業に流れていると一部で文書が出回っていた。こちらも事実確認したところデマなどではなさそうであった。

このように政治分野では、「知り合いの会社」に多額の依頼を発注するなどが横行しているようだ。
言わずもがな、これらの一部は税金であり、国民による監視が必要であろう。

2.行政業務のあらゆるDX、確定申告の「自動化」。

行政業務はいまだFAX・紙文化が横行している。ここもチームみらいは改革していく。
チームみらいだからこそ現実味があるのが、「エンジニアの現場感」を知っているというだろう。

技術で何が出来るのか、何ができないかを知っている政党だからこそ、より現実的にDX推進が可能になる。また技術的な判断も可能になるというのがチームみらいの強みだ。

さらには確定申告までも自動化していくとのこと。目白押しすぎる…。
社会保険関係もDXすればよりコストは下げられるはずである。

確定申告も自動化を目指すとのこと

3.プッシュ型支援で本当に必要な人に支援が届くように。

最後に最も推している政策を紹介する。「プッシュ型支援」だ。
現状の各行政サービスは「認知ありき」の支援となっており、「その制度を知らなければ」支援はされない。

そうではなく、必要な人に、必要な支援情報を届くようにしていくとのこと。

以前、マイベストに関する記事でも取り上げていたように、社会的な助成・支援があるのに、消費者金融に頼ってしまうという層は確実に存在している。

事実として、消費者金融の利用目的の多くが「生活費」となっている。

引用:NTTデータ ─ 生活費目的での融資が50%

貧困層に対する支援制度の課題として、「対象者がその選択を知らない」「対象外だと思っている」という課題が存在している。

実際に貧困層家庭のうちおよそ50%が児童扶養手当を利用したことがないと回答している調査も存在する。

このような方々が制度を利用していない理由として、「対象外だと思うから」という理由が70%を超えており、制度を利用できることすら知らない貧困層が日本には多く存在しており、必要な人に対して助成できるという事実が伝わっていない。

チームみらいの政策によって、このような「情報すら届いていない方々」への支援がプッシュ型では可能となる。

いつもは辛辣な匿名X界隈もエール。スタートアップ経営者で投票した方々も

いつもは辛辣な匿名X界隈もエールを送っている。すでに期日前投票したという経営者も。

「チームみらい」は国内最大のイシューを解決するか。

参院選は4年に1度。次のチャンスは 2029年だ。行政DXの遅延は複利で膨張する負債であり、後回しにできる余裕はない。次のタイミングでチームみらいのような「デジタル推進」を掲げる政党が出てくる確証もない。

いつの時代も、どんな産業も、業界を変革したのはアウトサイダーだったのではないか。彼ら候補者の年齢を見れば、キャリアとして最も輝ける年齢だっただろう。
そんな彼らが金銭的なリターンを捨て、政党を立ち上げ、1議席でも取れた瞬間エンジニアチームを走らせるというのだ。正直、面白い。

今日時点においても、期日前投票が過去最大を記録している今回の参院選。
未来は、あなたの一票で書き換えられる。明日、2025年7月20日は参院選の投票日だ。


[追記] 安野さんが髪の毛を伸ばされているのはヘアドネーション目指しているとのこと

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