スタートアップ界隈のTwitterインフルエンサー「もやし」さんをご存知でしょうか。
企業分析情報を配信されており、時折バズるツイートを連発されているので見かけた事がある方は多いかもしれません。
ビジネス系の情報転載でバズを多発させており、直近ではミクシィ投資事業部の運営するPodcastにも匿名で参加されています。
匿名アカウントとしては異例の活躍をされているもやしさん。
このもやしさんが5月2日に投稿したツイートに関して、大きな誤りがある状態にも関わらず、50時間以上も放置、結果的により多く拡散されてしまう事態が起きています。
どのようなツイートだったのか、また何が問題だったのかを改めて整理させて頂きます。
三越伊勢丹新宿店の売上の50%を上位5%の顧客が支えるとツイート。実際は「外商部門」に限定した話だった。
問題の誤情報ツイートが下記になります。
こちらのツイートですが、正しくは「外商部門」の売上50%を支えるのが5%の上位客というお話でした。ツイートからすぐに「誤りではないか」という指摘が複数きておりました。
失礼します。新宿店の外商売上のうち50.9%が上位5%の顧客なだけであって、新宿店全体の売り上げの50.9%を占めるとは書いてないと思います。外商グループ全体の売上が2022年860億なのに、新宿店の売上3000億の50.9%を外商グループの上位5%顧客が占めるんじゃ辻褄が合いません。
— ザビエル太郎 (@taroyamada456) May 2, 2023
伊勢丹新宿本店の年間売り上げは2022年度が3,000億円を超えると見られていますが、その50%ではなく外商による取扱高の50%が上位5%の上得意客によるものと理解していました。
(三越伊勢丹 外商統括部の総扱高は2022年度が約860億円の見込み)— 鈴木 貴久彦 (@Kikuhiko_Suzuki) May 2, 2023
しかし、もやしさん。ほぼ丸2日間も削除・訂正せず、拡散は続きます。
その騒動を検知し、SUANからもツイートから2日後に指摘。
恐ろしい勢いで拡散されている「三越伊勢丹新宿本店の売上50%を上位5%の顧客が支える」という情報ですが、誤りのようです。
正しくは外商セグメントにおける話で、恐らく10%程度ではないかという指摘。 https://t.co/wfTl6xMLxm pic.twitter.com/YpRFXpN6D6
— SUAN / スタートアップメディア🎈 (@suan_news) May 4, 2023
この方、好きなアカウントだけど(引用系の中では出典など表記してる)、今回の伊勢丹の話は煽るだけ煽り、指摘されたらしれっと引用で“捕捉”ですってのは良くないような…
知っててあえて誤読させる意図でもevilだし、誤読してたならそう言うべきだし。“捕捉”というなら前者なのでしょうが。うーむ。 pic.twitter.com/7rEqlomLpQ
— ベギラマくん (@cogitopp) May 4, 2023
削除前には「補足」として若干の訂正をされており、誤りには気づかれていたようです。
ちなみに本件、そもそも参考資料として引用されている伊勢丹の資料自体が「外商部門」に関する資料なんです。
ちなみに出典元の資料自体が「外商部門」に関する資料で、売上シェア50%に関するスライドも続けて読めば誤読しづらい。今回、改めて決算資料切り取りの危うさを感じました。
かなり拡散されてるので、しっかり対応しないとGW明けに赤っ恥をかくビジネスマンが増えてしまいますね… https://t.co/nhmTMI5hI1 pic.twitter.com/z8zk4ECqMn
— SUAN / スタートアップメディア🎈 (@suan_news) May 4, 2023
一部を切り抜くことで全く違う印象の数字になってしまう、危うさを感じました。
そして、ツイートから約50時間後、ようやくツイート削除に至ります。
Suanさんやベキラマさん及びその他の皆様にご指摘いただいた、三越伊勢丹新宿店の上位顧客の売上シェアのツイートについて、不正確な情報を発信してしまい申し訳ありません
店舗売上の50%を上位5%の個人顧客が創出していると記述してましたが、正しくは外商売上の50%になります。不正確な発信と
— もやし (@w_coast_0330) May 4, 2023
それにしても何故、このような誤ツイートをしてしまったのか。何故、初動ですぐ削除しなかったのか気になりますよね。そこには自身の運営する「オンラインサロン」への勧誘が意思決定の足かせになったと見受けられます。
まずはもやしさんのバズらせテクニックと誤ツイートしてしまった理由についてです。
もやしさんのバズらせテクニック「雑誌、記事をサマライズ」、ここに罠があった。
もやしさんのツイートの多くが「雑誌」「決算資料」などのサマライズが多く、稀に記事内から派生して調べたデータを貼り付けるスタイルとなっておりました。
今回の誤ツイートに関しても、同様の手法でまとめておりました。
しかし、今回は引用元の東洋経済記事にも誤りのような表現があり、その情報を真と受け止めツイートされてしまっていたようです。罠ですよね。
なるほど
この記事も間違ってるってことか https://t.co/97GWdWoRIh pic.twitter.com/mDFJYIMzwN— KENZO (@KENZO52302058) May 4, 2023
これは東洋経済の書き方も悪いです。
一方で、記事全体を読めば外商とわかるような記述もありましたし、転載された資料自体も外商部門に関する資料だった点もあるので、東洋経済が悪いと一概には言い切れない印象です。
いまだ拡散され続ける誤情報。何故、ツイートから3時間半後に指摘があったにも関わらず削除しなかったのか?
そして、今回の伊勢丹に関する誤情報ですが、未だに二次拡散が続いております。
Togetterで下記のようにまとめられ、既に約10万PV。
さらにこのTogetterがはてなブックマークにランクインしてしまうという状況にまで発展しています。
幸いにもはてなブックマークの最上位コメントは情報の誤りを指摘しているものとなっております。
一方で最新コメント欄を見ると「信じている」方のコメントが多数。
こうなるともう収拾がつきません。
何故、初動で誤りを指摘されていたにも関わらず、もやしさんは削除しなかったのでしょうか。
削除せず拡散し続けたのはもやしさんの行う有料の情報コミュニティへの宣伝狙いか
もやしさんですが、実はオンラインサロンのようなものを運営されております。
固定ツイートにも設定されており、恐らくここへの誘導が惜しかったのではないでしょうか。
月額600円で既に140名が加入しているとのこと。お小遣いにはちょうど良い収入にはなりそうですね。
拡散による自身のオンラインサロンへの誘導を重視し、「情報の誤りについて指摘があるにも関わらず、拡散を止めない」としたとすればevilと言わざる得ません。結果的に現在も拡散は止まらない状態となってしまっています。
改めてタイムラインを見返すと、初動で動けばこのような大きな拡散には繋がらなかっただろうと悔やまれます。
今回のように「誤情報」が拡散してしまった場合、取り返しがつかなくなることもありえます。
無料で配信しているのだから、多少の誤りは良いだろうという認識によって後に戻れない事故につながります。
その後の適切な訂正の遅れについて重ねてお詫び申し上げます。その他にも不正確な情報を発信してる懸念がありましたので、過去まで遡りツイートを全て削除させていただきました。
今回の件を反省ししばらくは本アカウントでの発信を控えさせていただきます。
— もやし (@w_coast_0330) May 4, 2023
今回の騒動で当面の間、Twitter上での発信は休止されるとのこと。
面白い着眼点を持たれていた方だけに、今回の誤情報に対しての初動&休止は残念です。