今回はビジネスメディア「PIVOT」の売上高推定記事です。INITIALによると評価額は62億円。
推定に至った発端は先日6月21日(金)、突如PIVOTの媒体資料がスタートアップオープンチャットで投下されました。なんと案件1本あたり400万~2000万円とのこと。
その後、6月26日にXにもPIVOT媒体資料のスクリーンショットが投下、86万impとなっております。(※下記ユーザーさんはGoogle検索で発見したとのことです)
PIVOTの案件動画、一本出すのに400万〜2000万
エグい儲かる pic.twitter.com/ePrZNE6nVM
— 英光 / テックキャリア研究所 (@eikoh0117) June 26, 2024
PIVOTの案件1本あたり400万~2000万…おい、儲かる…ということで、こちらの媒体資料から売上を独自推定しました。少なくとも売上高は7億円~10億円規模となっているようです。
ビジネス映像メディア「PIVOT」とは?今急成長中のビジネスパーソン向けメディア
そもそもPIVOTがどのようなメディアという点ですが、いま一番勢いのあるYoutube経済メディアです。登録者数は180万人を突破しています。
刀の森岡さんや、落合陽一さん、小池都知事など著名人もPIVOTに出演しており、再生数は多いもので200万回弱も再生されていました。凄いですよね。
ユーザー層は40代前半までが70%、個人年収600万超えが60%とのことでビジネスパーソンに多く視聴されています。
ビジネスパーソンにアプローチできるメディア、魅力的ですよね。既に大手企業も出稿しているようです。
ではここから公開されていたPIVOTの案件単価を見ていきます。
PIVOT、広告案件1本につき400万~2000万円のレンジで提供中。価格表がこちら。
PIVOTの価格表を見ていきましょう。かなり多いので興味ない方は売上高推定まで飛ばしてください。では見ていきましょう。
トーク型動画の「&Questions」は1本700万円(税込み)。
続いて、&Questions DELUXEは1本1,000万円(税込み)。こちらはオフィスなどへの潜入取材までしてくれるそうです。
PIVOT SPECIALは3本セットで2000万。通常の&Questions+DELUXE+αの3本セットでブランディングしてくれるとのことです。
移動中のタクシーでインタビューする「TOP TALK」は500万円+GROWTH掲載費で最低650万円ほど。このオプション面白いですね。
日本の未来を数人で語る&ISSUEは1250万円、外部ゲストの費用は別途必要です。
&TALKは400万円。おそらく最も安いパッケージです。Video Podcastとのことで、ラフに話すような映像のようですね。
&SKILL SETは企業メソッドを動画化、1,000万円とのことです。これはなかなか高い。
ドキュメンタリー形式は600万円~2000万円。依頼すれば匿名スタートアップメディアの身バレ騒動とかもドキュメンタリーにしてくれるんでしょうか。ダメですか。
最後にオプションです。色々あるようで、PIVOT動画を追加で広告配信するパッケージもあるようです。
タクシー社内広告のオプションも。これいいですね~。
盛りだくさんでした。この価格表から売上高の規模感を推定していきます。PIVOTの価格表はまとめると下記のようになります。
テーマ | 価格 | 本数 |
---|---|---|
& questions | 7000000 | 1 |
& question deluxe | 10000000 | 1 |
PIVOT SPECIAL | 20000000 | 3 |
& SCIENCE | 7000000 | 1 |
TOP TALK | 5000000 | 1 |
& ISSUE | 12500000 | 1 |
& TALK | 4000000 | 1 |
& SKILL SET | 10000000 | 1 |
& DOCUMENTARY | 6000000 | 1 |
いよいよPIVOTの売上高を推定していきます。
調査対象期間は2022/3/20~2024/6/21、PIVOTの1772本から広告案件を探す
PIVOT動画の調査対象期間は2022年3月20日から2024年6月21日分までとし、こちらの範囲で公開情報を取得してきました。
念の為、PIVOTのYoutubeチャンネルの数字とも比較します。
最古の動画公開日とデータセットの値も一致、件数も概ね一致していたのでこちらのデータセットで分析していきます。
※一部データ欠損している可能性もあるので、予めご了承ください。
Pivotの案件動画にはSponsoredと概要欄にしっかり記載されてますので、まずはスポンサー記載のある動画を数えていきます。
ということでスポンサーに絞ったPIVOT調査データセットはこのような感じになりました。
スポンサー企業名も取れたので、上位の出稿企業も後ほど見ていきます。
これらのデータからPIVOTの売上高を推定したのがこちらです。
経済メディア「PIVOT」の売上高7億円~10億円程度か。順調に成長。
推定結果がこちらです。2023年度でPIVOTの売上高は既に7~10億円程度になっている可能性が高そうです。※一部データ欠損や広告オプションが含まれている可能性もあると考えると、さらに上振れする可能性もあります
かなり順調そうですね。広告主の上位は経済同友会や経産省など堅めのクライアントが並んでいます。このあたりのクライアントが獲得できるのは素晴らしいですね…。
PIVOTの登録者はすでに180万人超え、売上も順調そうに見えます。その一方で、実は動画一本あたりの平均再生数は横ばいとなっているようです。
これがどういうことかというと、登録者数だけが増えていて再生数はそこまで伸び切っていない=登録者に配信されていないという状況なんですね。
この状況、いわゆる複合型Youtubeチャンネルのジレンマに陥っている可能性があります。なぜ、PIVOTは登録者に対して効率よく動画配信が出来ていないのでしょうか。
経済メディア「PIVOT」登録者は急成長中だが、Youtubeロジックのジレンマに陥っていないか
PIVOTの場合、複合的なジャンルで配信することで裾野を広げ登録者は多く獲得できています。
その一方で既存ユーザーからすると「好きじゃないジャンルまで配信されている」状況なんですね。
Youtubeなど含む、最近のSNSロジックとして登録者数・フォロワーが増えても、配信のエンゲージメントが維持できなければ登録者に配信されないというものが存在しています。
PIVOTもまさにそのジレンマに陥っている可能性があります。
とはいえ、このロジックはあくまで仮説なので複合的型のYoutubeチャンネルの実際の数字感を見ていきましょう。
例えば下記のavexのYoutubeチャンネル、登録者609万人にもかかわらず直近再生数は4桁となっていますね。
TBSも同様に115万人登録で5000回再生未満のものが多数存在しています。
このように「登録者の属性・ジャンル」が固定的でないチャンネルは再生数がくすぶってしまう傾向があります。つまり熱烈なファンが付きづらいチャンネルですね。
PIVOTも登録者数の増加に対して、1動画あたりの再生数を月次で見てみるとそこまで伸びていない事がわかります。
このようにテーマや演者に統一性を持たせられないマルチメディアチャンネルは、Youtubeのロジックへの対応が難しく、徐々に露出が減ってしまうという悪循環があるのではないでしょうか。
ということで今後のPIVOTの運用に一つ提言です。PIVOTもジャンルごとにチャンネルを切り分け、Youtubeのロジックに順応していくべきではないでしょうか。
PIVOTに提案したい展開の方向性:マルチチャンネルの運営
PIVOT、Youtubeチャンネルの運営会社としては異例の採用パワーで国山ハセンさん、野嶋アナなど元キー局アナウンサーが所属しています。
この強みを活かしつ、ジャンルごとにチャンネルを切り分け&個人チャンネルをやっていくのが良いのではないかなと感じます。
現状のPIVOTは本体チャンネルの1本足打法。Youtubeに依存しつつ、その配信ロジックには抗っているような状態です。
登録者数の成長だけでなく、長期的に再生数が取れるチャンネル運営を目指すのであればテーマや個人ごとにチャンネルを分散させ、アプリへ誘導していく、、というのも1つの戦略としてありではないでしょうか。
それにしてもPIVOT、垂直的に立ち上がっていて素晴らしいですね..。最近はスタートアップオープンチャットで先出し情報が出る事が多いのでぜひ皆さんご参加ください。