大手D2C通販、140社中90社が電話解約のみか。背後に「電話解約のみにすれば解約率は下がる」と流布するコンサルの存在。

追記:7月11日 21時:ベルタより問い合わせがあり、FAQ記載の内容が足りていなかった旨、お伝えあり。LINE解約も存在していたとのことで記事の一部を修正しております。

D2C企業に対しコンサルティングを行う「売れるネット広告社」加藤公一レオ 代表が出演したYoutubeでの発言に批判の声が相次いでいます。

2022年に配信された動画内で「ネットユーザーは電話が嫌いなので、電話のみにすると解約率は下がる」と発言。あえて利便性を下げることで解約率を下げる意図の発言をされておりました。

こちらの発言をTwitterで紹介したところ、、各方面から批判が相次ぎました。現時点で1700いいね、引用リツイート262件。引用RTの多くが否定的な意見となっています。

今回紹介する「電話解約のみ」に絞れば解約率は下がるという手法、実は特商法の法改正でも議題に上がるほど社会問題となっており、日本通信販売協会への相談でもその多くが解約についてとなっております。

今回はこの「D2Cの電話解約問題」についてご紹介させて頂きます。ユーザーを愛する企業であれば決して導入しないような利便性を損なう手法。その裏にはD2Cコンサルの存在があったようです。

「売れるネット広告社」社員、勝ち組D2Cの140社中90社以上が電話解約のみと公表していた

今回話題となっている「電話解約のみ」のD2C、実際にはどの程度存在しているのでしょうか。
過去に「売れるネット広告社」に在籍されていた社員さんがツイートされておりました。
※昨夜6/11時点で何故かアカウント削除されていたのでスクリーンショットとなっております。

引用:archive.is

なんと大手の勝ち組D2C、140社中90社以上が「電話解約のみ」と発表されておりました。その数、およそ64%以上…。衝撃のデータです。さらに驚くことにこれを「必勝テクニック」と称して紹介し、解約のハードルが上がるとも記載していました。

今回の「売れるネット広告社」加藤CEOの動画にも驚きましたが、元社員さんも同様のツイートをされており、組織的に鉄板のチャーンレート改善施策として各社に「電話解約のみ」を助言していたのだと思われます。

時期的にも売れるネット広告社に在籍されているときのツイートでしたので、間違いなさそうでした。

引用:archive.is

いやはや、コンサル側が組織的に「電話のみの解約」を助言していたとは…悲しいですね…。

また今回の騒動についてもコメントされており、試行錯誤して編み出したノウハウとして言及されています。

試行錯誤した結果、ユーザーに負荷をかけてしまうような施策が良いとは到底思えません。
実際にD2C企業の64%以上が電話解約に限定しているのでしょうか。

売れるネット広告社主催「D2Cの会フォーラム」の参加企業の解約方法を調査。28.5%が電話解約のみ。

ということで、売れるネット広告者が主催している「D2Cの会フォーラム」参加企業を調査してみました。

上場企業含め、大型調達などをしている企業も多いですね。結果は下記の通り。

下記:ベルタに関してはLINE解約が可能だったものの、FAQへの記載漏れがあったとのことです。

各参加企業のの特商法などから一覧化。商材によって違う場合もあったがメイン商材に絞りました。

参加D2C企業28社中、8社が電話解約のみでした。全体の28.5%が電話解約のみとなっており、売れるネット広告社が公開した60%もいませんでしたね。

この中で2社、目立つ存在があったのでご紹介致します。

ユーザーに電話代負担「MEDULLA」のSparty、解約電話後にLINEアンケートを要求するVALX

MEDULLAのSparty、電話解約に限定し、コールセンターのオープンは平日9時~19時のみ。
そして、何故かナビダイヤル(ユーザーに電話代請求)という電話体制でした。

さらに衝撃なのが常時繋がるわけでなく、下記のように繋がらない時間帯が平日にも存在しているとのこと。

これ、つまり電話の待ち時間はユーザーが電話代負担するということなんですよね。なぜ、契約はWEBにも関わらず、解約は電話のみなのか。なぜ繋がりにくい時間帯があるのか。

次にプロテインの「VALX」も特徴的な解約フローをとっていました。コールセンターが平日10時~17時とかなり限定的です。

さらに解約は「電話したあとにラインでアンケートを回答して欲しい」とのこと。

これも賛否ありそうな…。プロテインは美味しいので、簡単に解約できるようになることを祈ります。

電話解約のみに絞る理由の「余っている」は本当か?調査方法など未だ不明。

売れるネット広告社は「D2Cの定期便解約理由の65%は”余っている”、なので解約を電話に限定し、休会を促すことに意味がある」と主張しています。

こちらに65%の数字に関して調べたところデータは売れるネット広告社の独自調べということ。

1位が65%、2位が25%でデータとして母数どの程度なの?と疑問に思い、調査時期や調査対象、母数などを質問したところアカウントをブロックされてしまいました。

他社の調査だと、「余っている」は3位の解約理由となってますし、回答は分散していて到底”余っている”が65%を占めるとは思えないんですよね。

こちらに関しては引き続き調査概要の回答をお待ちしております。

本当に「違法でなければいい」のか。過去の売れるネット広告社の訴訟事例も

本件、現在は加藤さんにブロックされてしまいましたがリプライでもやり取りしておりました。その中で気になった点が下記の「違法でないし」というような言及です。

引用:Twitter

違法でなければいいのでしょうか。調査の過程で売れるネット広告社が過去に訴訟した事例で気になったものがあったのでご紹介します。

2019年、売れるネット広告社が社名が類似しているとして「株式会社ureru」と「株式会社ウレル」の2社を訴訟しています。プレスリリースには2社の代表者名まで記載する徹底ぶりです。

こちらに関して旧ウレル社の代表さんのブログに切実な気持ちと経緯が吐露されておりました。
質問を送るも未回答で突然訴訟に発展、こんなことに時間をかけるのも…と決断し、社名変更に同意したとのこと。ブログには思い入れの強い社名であったことも書かれておりました。

こちらのウレルは別業態とのことなので、そこまでやる必要があるのかと疑問に感じます。

そして、その後、売れるネット広告社は「商号を勝ち取った」旨のプレスリリースを配信しています。

その後、驚きなのが勝利宣言プレスリリースの翌年、社名変更に同意したウレル社と同一名称の「ウレル」を商標登録しています。商標申請はしてなかったのかということに驚きです。

商標検索より

確かに違法ではないんですが、訴訟された側のウレル社のブログを読むといたたまれない気持ちになりました。

プレスリリースには「勝ち取りました」や「権利の不当な侵害には断固として戦う」というような記載があり、旧・ウレル代表者さんのブログを読むと少しモヤモヤしてしまいますね。

解約を「電話を解約のみにする」って要するにこういうことだよねという話

電話解約の問題、わかりやすく例えると下記のような話だと思うんですよね。

アクセス手段をあえて異常な状態に絞り、ユーザーに不便な状態にして数字が改善したと。でもそれって本当に顧客のためなのでしょうか。

逆にD2Cならではの強みを活かした「ベースフード」のケースをご紹介します。

ベースフードのユーザーライクな仕組み。ユーザーとともに育つ

SuanのQuerieでベースフードはWEBで変更提案してくれてよかったというご意見を頂いておりました。

ベースフードに関してはユーザーとのコミュニティも面白い取組をされています。
ユーザーがレシピをみんなで共有したり、新しいアイデアを投稿したりする場を設けられているんですね。

引用:BASEFOOD LAB

あくまでメーカーと顧客は対等な立ち位置、なんなら開発者としてユーザーを巻き込んでいるんですよね。

D2Cって本来このようにメーカーと消費者が直接繋がり、製品改良にスピードが出せることもメリットなはずですよね。非常に良い事例です、ぜひ皆さん調べてみてください!

拝金的手法に染まる「D2C界隈」、自主規制でなく法改正が必要か

過激な違法広告に染まったアドアフィリエイト広告。そして、その先にいるメーカー側も「ユーザー軽視」の解約阻止を行っている現状がありました。

そしてD2Cの背後には「電話解約のみ」を有効だとして助言してしまうD2Cコンサル会社の存在がありました。

現実として、電話解約のみというユーザーに負荷をかける解約方法によって多くの方が消費者センターに駆け込んでいます。顧客を悲しませるのではなく、喜ばれるビジネスを作ろうよ、と願うのはその1点のみです。

【追記】売れるネット広告社、謝罪するも継続して解約導線を電話のみを推奨

売れるネット広告社の加藤代表、今回の件について謝罪をされておりました。謝罪内容は発言の表現に関してのみでスタンスとしては引き続き電話解約のみを推奨していくようです。

謝罪理由は「消費者から指摘があった」からとのこと。うーん、なるほど…。

Suanの引用リツイート一覧で色々な意見が見れますのでぜひ皆さん見てみてください。
これはもう自主規制は難しそうなので、法改正が入るしか是正されない気がしますね。

引用リツイート一覧

D2C各社の動きに期待しています。

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